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「微笑みを見つけた」

作詞:遠藤京子 作曲:鈴木キサブロー 編曲:井上日徳

今月3日に行方がわからなくなって以来その安否が案じられていた酒井法子さんだが、昨日の夜に警察に出頭し、5日ぶりに姿を現した。その間に彼女の置かれた立場は“悲劇の妻”から“容疑者”へと一変してしまったわけではあるが、最悪の事態も想定される状況だっただけに、ともかくも無事が確認されたことにほっと胸をなでおろした。

のりピー”といえば80年代後半を代表するトップ・アイドルの一人で、あの時代に青春を過ごした人で彼女の愛くるしい笑顔に魅了されなかった者はいないだろう。私も特に熱心なファンというわけではなかったけど、数多の女性アイドルが少年達の心をわしづかみにしたあの時代にあって、のりピーはその中でもとびきりかわいい人だったと認識している。

正直にいうと私は失踪が伝えられた時点で本人に嫌疑が降りかかる事態もある程度予期していたのだけど、彼女が“悲劇の妻”であれ“容疑者”であれともかく無事でいて欲しいと願わずにいられなかった。今後は犯した罪について法の裁きを受けなければならないし、それは彼女にとってとてもつらい道のりになるだろうけど、生きてさえいればまたやり直すこともできるはずだ。


大抵の報道では彼女の肩書きは“女優”となっていたが、のりピーは当然“歌手”でもある。去年のことだったか、NHKの『SONGS』で彼女が中山美穂 & WANDSの「世界中の誰よりきっと」を歌うのを聴いたけど、私には「ミポリンの曲をのりピーが歌っている」という話題性以外に刮目すべき点があるようには思われなかった。ヴォーカリストとして特に資質に恵まれた人というわけではないだろう。私には歌手としての酒井法子さんに格別の思い入れはない。

そんなのりピーの歌の中で、私が割りと気に入っているのが「微笑みを見つけた」という作品である。この曲は1990年8月21日にリリースされたようなのだが、リアルタイムでは全く記憶にない。おそらくそれほどヒットした作品ではないのだろう。

私がこの歌を最初に聴いたのは、ヴィヴィアン・ライさんという香港の歌手による広東語でのカヴァーだった。中古CDショップでたまたま入手した香港のアイドル歌手のコンピレーション・アルバムに収録されていたものである。聴いていてとてもいい曲だな、と思ったのだけど、作詞者、作曲者のクレジットから日本の楽曲のカヴァーだということはわかったものの、元のタイトルが明記されていなかったので誰の何という曲なのかまではわからなかった。

それが後に例によって中古CDショップで手に入れたのりピーのシングル集にこれが収録されていて、この曲が酒井法子さんの「微笑みを見つけた」という作品だということがわかったのである。ヴィヴィアンの声もとてもかわいくてよかったのだけど、のりピーのオリジナルもやはりとてもいい雰囲気で、日本語詞がまた実に素敵だった。このアルバムにはシングルのジャケット写真が載っているのだけど、これがまたとびきりかわいい笑顔なのだ。そんなわけでこの曲はすっかり私のお気に入りになったのである。


彼女の行方がわからなくなって以来、私はずっとこの曲を聴きながら彼女の無事を祈っていた。薬物事件の被疑者であれ何であれ、ともかく無事に生きていてくれることが何よりである。いつかまたあのとびきりののりピー・スマイルを私たちに見せてくれる時がくることを願っている。自分で蒔いた種とはいえ今とてもつらい思いをしているに違いないのりピーに、何とかして「泣ける程温かい言葉」を伝えて上げられたらいいのだが…。

記 2009.08.09
改訂 2010.01.24

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