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「夜明けのうた」

作詞:岩谷時子 作曲:いずみたく
アルバム「ラスト・コンサート」(2008.12.10)所収。

周知の通り、本田美奈子さんは白血病のために入院中、同じ病院に入院してきた恩師の岩谷時子さんを励ますためにボイスレコーダーに歌を吹き込んで、岩谷さんの病室に届けていた。2008年12月10日に発売されたアルバム「ラスト・コンサート」には、その音源の中から19曲が収録されている。これらの音源はほぼ全てが美奈子さんの病室で録音されているはずだが、ご自宅で録音したと思われるものが一つだけある。それが「夜明けのうた」である。

美奈子さんはこの歌を、誕生日に合わせて一時退院した際にお母様とのデュエットで歌い、岩谷さんに届けている。その様子はNHKの特集で紹介された。ここに収録されているのは美奈子さん一人で歌っているヴァージョンだが、おそらく同じ機会に録音されたのだろう。一切騒音のない無菌室で録音された他の音源と異なり、この曲の背景にはおそらく蝉しぐれと思われる外からの音が記録されている。途中に入る咳払いはお母様だろうか。

美奈子さんはこの一時退院中に事務所のBOSSさんに“風を感じる幸せ”について語ったと伝えられているが、この歌の録音を聴いていると無菌室から出て外の空気にふれた美奈子さんの喜びが少し理解できるような気がする。欲を言えばお母様とのデュエット・ヴァージョンも併せて収録して欲しかったところである。この親子デュエットについては岩谷さんも称賛されていたのだが…。

この歌は岩谷さんの作詞で、元は岸洋子さんが歌ってヒットした曲である。歌に悲しみを流し望みを抱かせよと呼びかけるその歌詞は、シンプルながら私たちに希望を与えてくれる。3番の歌詞には美奈子さんのこだわっていた“小さな幸せ”という言葉も出てくる。岩谷さんの作詞であることはもちろんだが、一時退院に際して歌う曲としてこれを選んだのは、そんなことも理由だったのかも知れない。今年の年頭に当たり、私もこの希望に満ちた歌から生きる力を分け与えてもらうことにしたい。

記 2011.01.06

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